鬼頭 平蔵(おにがしら へいぞう)

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加賀見の運転で走ること一時間。 春望社のビルにやって来た。 (ほぉ~…流石、出版社というかなんというか。) 出版社には雑誌ごとに編集部があるだけに、なかなか大きなビルだ。 自動ドアをくぐり、正面付近にある受け付けに行く。 「すいません、月刊文説という雑誌の編集長さんはいらっしゃいますか?」 「アポの方は、ございますか?」 受付の若い女性は笑顔を絶やさずワシたちに対応する。 ふむ、これが営業スマイルってやつか。 「いえ。ただ作家の君嶋先生に関することでして。」 「分かりました。確認してみますので、少々お待ちください。 すいませんが、お名前は……。」 「鬼頭です。」 「では、あちらの方にお掛けになってお待ちください。」 「恐れ入ります。」 言われた通り、近くにあった椅子に座って待つことにした。 こういう所は仕事でもなかなか来ることもないし、新鮮に感じるなぁ。
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