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警戒しながら聞き返すと、泰司はちょっと言葉に詰まって私から視線を外す。
「あのさあ、映画の前に時間ないか?」
「は?何で?」
予想外の質問に眉を顰めた私に、泰司は不貞腐れたような顔で私を睨んだ。
「買い物。買いたいものがあるから。」
「…美花に頼めば良いじゃん。」
「美花じゃ意味ない。」
私の言葉を泰司は慌てて否定する。
ああ、そうか。
泰司の企みに気が付いて私は心の中で呟く。
一週間後に美花の誕生が来る。私と5日違いだから絶対に忘れない。誕生日プレゼントでも買うつもりなのだろう。
だから、美花とは行けないんだ。きっと映画の帰りに誕生日プレゼントを渡して告白でもするんだろう。
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