Story2 相対する世界1

5/18
前へ
/112ページ
次へ
「外塀を越えて侵入するより、門番を倒して侵入したほうがいいかもね。 暗証番号を入力すれば門は開くみたいだし、その辺は兵士を利用してさ」 「龍牙上空にはシールドが張り巡らされているだろうし、それが妥当だろうな」 「総元帥を殺せれば作戦はどうでもいい。 行くぞ」 どこか弾む声音で私案する青年はイリヤ。 中性的な顔立ちで、アップルグリーンのサラサラの髪が印象的だ。 門扉を警備する兵士を、獲物を狙う猫のような目付きでじっとりと眺めていた。 イリヤと対照的な落ち着いた言動で話すのはデューク。 和布で鼻と口を覆い隠し、忍装束のような全身黒ずくめの衣服を纏った青年だ。 そして二人の背後から龍牙を見据え、露骨な殺意を醸し出すグレンの姿があった。 彼女は表のグレンで、異界のグレンとは容姿こそ同じだが全くの別人だ。 彼ら三人は龍人。 のちに語ることになるとある理由から、龍牙総括・総元帥オーガストを殺害することを目的とし、ここに居るのだ。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加