Story1 はじまりの刻

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二人言葉少なに夕陽を映し取った街並を眺めていると、不意にグレンがノラに手を突き出した。 細い掌には、夕陽を反射し、キラキラと光輝するビー玉大のまん丸のクリスタルが二つ座している。 「それ何?」 「私がずっと大事にしてるクリスタルだよ。 子供の頃にこの時計台で見つけたの。 誰かの落とし物かと思って管理人さんにも届けたんだけど、落とし主が現れなかったから私がもらっちゃった。 これ、ただのクリスタルじゃないんだよ。 ほら、覗いて見て」 ウキウキと声を弾ませるグレンがノラを促す。 ノラは小首を傾げ、グレンの手の中にある二つ重なった何の変哲もないクリスタルを覗き込んだ。 ―――そして絶句した。
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