平成。

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「ねぇ聞いた? あの子、また男できたんだって」 「誰だれ~?」 「ほら、中里由音」 「きゃはっ、やばくね?今年何人目なんだっつーの」 「生意気の域を越えて憐れだわ」 「言えてるし」 やっと始業ベル鳴った。 ――授業、終わらないで欲しいな。 多分、こんな考えを持つ高校生は稀だろう。 しかし由音にとって授業中はただ一つの安全な時間だった。 整った和風の顔立ちに儚げな風貌。 たおやかな物腰。 成績優秀。 何もせずとも怨みを買って高校生になってからは友達もできず、あらぬ噂を流されていた。
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