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「ふざけん「今この席にバックが置いてあった、でもあたしはそのバックより上だ!!それにあんたのバックは、周りの≪この席に座りたい≫と思う人の行動を強制的に制限していた!違うか!!」
車内には、不良の怒鳴り声を上回る私の少しズレている持論が響いた。
それと同時に私は、笑顔を止め苛立ちと怒りを滲み出し、不良を睨み付けてやった。
車内の泣きそうな赤ちゃんをあやすお母さんも、
イヤホンを外し現実に戻ってきた青年も
誉めあいを止めた休日の少女たちも、
私に便乗するように、それぞれの不安や不快感を全面に出しているのが、車内の雰囲気の変化でなんとなく分かる。
不良のふざけたプライドはあっさり消えた。
一緒にいたもうひとりの不良が車内の一変した雰囲気にオドオドし始めていた。
私が不良に勝った瞬間だった。
不良はすぐに荷物を持って、タイミング良く止まった電車から降りた。
私は何も気にせず、さっきまで不良が座っていた窓側に座り直した。
璃子も私の向かいに座り、立っていたおばあちゃんに、
「どうぞ」
と自分の隣の席を開けた。
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