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「とても大きなものを預かってしまった。シスターから」
施設を出て日長駅に向けた足並み。
その道中も、離れる時間を惜しむように手を繋いで歩いていく。
「なにか貰ったの」
先ほどのわたしの言葉の回答を、隣から彼が問う。
「きみの未来」
その答えに、彼はきょとんとした顔を向ける。
30代のちょうど真ん中。
この歳で見つめ直したり、新たなことに挑戦したりなど、数年前のわたしは思いもしなかったことだ。
そして、誰かに向ける情熱が、自分の中にあったことなども。
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