ー四十五日ー

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亡くなった人の魂は四十五日まで、この世に残るという。 半年前に亡くなった母も、その間いたのだろう。 毎晩やたら夢に出まくり放題。 しかも先にアノ世へ逝ってるバァちゃんとツルんで出てくるし。 母は最初に夢に出てきた時、台所に立ち何か料理を作っていた。 私の方にクルッと振り向き 『來ちゃん、料理はこう作ると美味しく作れるんだよ。』 『へぇ~そうなんだ。』 バァちゃまはコタツに座り、お茶をススリ黙っている。 認知症&パーキンソン病に、なりかけてる独り暮らしの父のことが心配で 『食事や身の回りの世話を頼む。』 というメッセージなんだと思う。 死んでからも尚、父の心配してるなんざ 母も良い所あんじゃん、と思ったね。 一言も話さず、バァちゃまは静かにお茶すすってた。 ある時、実家に寄ったとき父が 『大事な書類を無くした。』 なんぼ探しても見つからない、と。 一緒に探しても、どこにも無い! 隅から隅まで探すが一向に見当たらず。 神頼みならぬ母頼みをしてみた。 『お母さん!まだ居るよね?お父さんが大事な書類なくしたらしいんだけど、どこにあるか教えて!』 …まさかね、こんなんで見つかったら苦労しねぇーよな。 なんて考えてると、ふいに頭に【お父さんのタンス】が浮かんだ。 さっきも探したが無かった場所だ。 再度、探してみる。 と、なーんと書類が衣服の下に埋もれ、あったではないか! 『マジか…。』 諦めかけていた父も 『そこ、何度も探したけど無かったんだよなぁ。おかしいな…。』 ま、父には余計なことは言わず 『とりあえず見つかって良かったじゃん。』 ひとまず一件落着となったわけでありやす。 あとで 『お母さん、ありがとう。』 言っておいたけどね。 その後も4~5回、アレヤコレヤ物が見当たらないことがあったが、前回と同様 に母に問いかけてみると、不思議なことに、ちゃんと見つかるのが続いたのであった。 やっぱり、四十五日までは母も家に居たのだと確信した出来事だった。
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