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稽古が終わる頃にはすでにもう空はオレンジ色に染まっていた。
やっと、家に帰れると内心喜んでいた。
「おっと、挨拶しなきゃな。」
野良猫に挨拶をしていこうと思い、公園に入ったがいつもの場所にいない
少し探すと、木の影にうずくまっていた。
おかしいなと思い、撫でてみるとブルブルと震えていた。
「なんだこれ..」
空には異常な量のカラスが飛んでいる。
どうにも嫌な予感しかしない。
僕は少し駆け足でバスに乗り込んだ。
携帯でニュースを見ようとイヤホンをつけた。
「本日午後3時ごろ箕島市で輸送用のヘリコプターが墜落しました。」
ヘリが墜落!?
「なお、被害はない模様。現在は警察が事故の原因を捜査しております。」
被害はないのか..
安心して、背もたれにもたれかかった。
だが、不安が消えることはなかった。
そして、その不安がもうじき現実となる。
バスを降りると不安からか自然と早足になった。
おかしい..
なんでこんなに人がいない!
いつもは賑わってる商店街にも人っこひとりいないのだ。
急いで僕が住むマンションに向かった。
何年も住んでいるマンションがまるで違うマンションのように感じるほどに異様な雰囲気をかもしだしている。
エレベーターで9階まであがり、家の扉をごくりと唾をのみながら開けた。
「おかえりなさーい。」
いつもなら聞こえる母の声も聞こえない。
だれもいない?買い物?
いや、それなら連絡するだろ。
なにか、おかしい..なんだこの緊張感は。
自分の家だと言うのにまるで富士の樹海にでもいるような緊張感だ。
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