精霊と出会った少年

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人の往来が激しいイスピリトの王都ミトロジアと比べ、往来こそ少ないものの自然が豊かな村グロウス。その村には小さな村には収まりきらないほどの才を有している子供が三人住んでいた。その三人の子は今森を抜け川に架けられた橋を渡り小さな洞窟にまでやって来ていた。 「ちょっと二人共早くしなさいよ、日がくれちゃうわよ!」 『ミリア・べルモンド』べルモンド三姉弟の長女である。まだ11歳ながらも整った顔立ち、スラリとした体躯は美少女と例えてもよいのだが、彼女はある悩みがあった。 「うーん……この木ちょっと邪魔ね。よい…しょっと!」 そう言って、進行方向にある自分の体長ほどある木を軽々と持ち上げ端にどける程の怪力の持ち主であるからだ。年頃の少女はたまにもっと女の子らしく魔法が得意なら良かったと漏らすこともある。 「……相変わらず、ミリアの力は羨ましいね」 どかされた木を見ながら呟くのは『レストル・べルモンド』べルモンド三姉弟の長男(ミリアとは双子の弟)にあたる彼の容姿は、髪はオールバックに切れ長の目、身長も同年代に比べて高く初対面は必ずと言って良いほど驚くのだが、実はと言うと優しい心の持ち主で細かい気配りも出来る頼れる人物である。そんな彼は魔法を得意としており、既に全ての属性の中級魔法を会得してある。
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