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『龍ちゃんの日程はまだ決まってないけど、クアラルンパから一緒に行くことにしてるのよ。
龍ちゃんだったら、どうやって島に行くか判らないでしょうから』
『そうか。楽しそうだな』
『そうねぇ、楽しくなるわよ』
『本当だ。でも、龍ちゃんは誘うのに、俺は誘ってくれないんだ』
それを聞いて、はた、とアイラの会話が止まる。
『実家に帰ればいいじゃない』
『そうだね』
『去年だって帰ってないじゃない』
『そうだね』
『両親とか会ってないんでしょう?』
『そうだね』
『だったら、実家に帰りなさいよ』
『それ、龍ちゃんにもそう言った?』
『龍ちゃんには、格安のチケットがあるわよ、って言っただけよ。そうしたら、龍ちゃんも来たい、ってね』
ふうん、と電話の向こうで、そんな素っ気無い返答がされる。
アイラは少し片眉を上げて、
『家族でクリスマスくらい過ごせば?』
『そうだね。でも、俺の両親は今はイギリスだから、アメリカには来るのかどうか』
むー、とアイラがなんだかその口を尖らせて行く。
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