その1

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『龍ちゃんの日程はまだ決まってないけど、クアラルンパから一緒に行くことにしてるのよ。 龍ちゃんだったら、どうやって島に行くか判らないでしょうから』 『そうか。楽しそうだな』 『そうねぇ、楽しくなるわよ』 『本当だ。でも、龍ちゃんは誘うのに、俺は誘ってくれないんだ』  それを聞いて、はた、とアイラの会話が止まる。 『実家に帰ればいいじゃない』 『そうだね』 『去年だって帰ってないじゃない』 『そうだね』 『両親とか会ってないんでしょう?』 『そうだね』 『だったら、実家に帰りなさいよ』 『それ、龍ちゃんにもそう言った?』 『龍ちゃんには、格安のチケットがあるわよ、って言っただけよ。そうしたら、龍ちゃんも来たい、ってね』  ふうん、と電話の向こうで、そんな素っ気無い返答がされる。  アイラは少し片眉を上げて、 『家族でクリスマスくらい過ごせば?』 『そうだね。でも、俺の両親は今はイギリスだから、アメリカには来るのかどうか』  むー、とアイラがなんだかその口を尖らせて行く。
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