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「椎奈、一緒に帰ろうよ?」
クラスが違うのにわざわざイケメン幼馴染み君は私を拾いに来る。
別に彼のことは嫌いというわけではないが周りの取り巻きどもはこの上なくうざったい。
「洸(コウ)だけならいいよ、他の子がいるなら一人で帰る。」
彼は私の返答に苦笑いを浮かべるが、直ぐに持ち前のスキルで取り繕うと今日は俺しかいないよとさわやかな笑顔で言い放った。
珍しいとは思ったもののたまには幼馴染みである彼、月島洸と一緒に帰るのもいいかと手早く帰宅の準備を済ませた。
「よし、それじゃあ行こうか、どっか寄ってく?」
洸は久しぶりに私と話す機会ができてうれしいのかニコニコしながらそんなことを言う。
「んー、私は特に寄りたいところはないかな、洸がどこか行きたいっていうなら付き合うけど。」
「椎奈がないなら別にいいよ、今日はまっすぐ帰ろうか。」
彼と一緒に校門を出てそのまま自宅へと向かう。
再度言うが彼のことが嫌いというわけではない、けれど一緒にいるとイヤでも注目を集めるし、嫉妬する人もいる。
正直、洸と私は幼馴染みというだけでそれ以外の関係性は一切ない。
けれどもまあ、そんなことお構いなしのようで、女子達には軽く無視されたりハブられたりする始末だ。
はぁ、この超鈍感が女子達の気持ちに気づけば楽なのに、と思いつつ私はため息をついた。
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