第1章「火の星」

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 戦いはまだ完全には終わっていなかった。残って村を護っていた何人かの男たちがまだ抵抗をつづけていた。しかし、すでに何人かの戦士は斃され、村が落ちるのは目前だった。  そこへ、ラウナが戻ってきた。腰に佩いた鋼の剣をぬくと、賊の中に斬りこんだ。  まだ部族間の戦いに出たことはなかったが、普段、村の戦士たちに剣のけいこをつけてもらっていた。女とはいえ、その腕は村の若手でも抜きん出ていた。重い剣を持つ腕の筋肉も、決して男たちに引けはとらない。 「ぐおおおーっ!」  叫びながら剣を振るう。あっという間に一人を斬り殺した。  賊の何人かがラウナに気づいて襲いかかってきた。ラウナが受けた。剣と剣がぶつかり、鋭い金属音をたてた。
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