30人が本棚に入れています
本棚に追加
「くそぉ……。おまえらぁ……!」
ラウナはすさまじい怒りと闘気で相手を圧倒した。さらに二人を血の海に沈めた。
もはや正気ではなかった。鬼となっていた。このまま怒りにまかせて人を殺めていったら、二度と正気には戻れないような、そんな形相だった。
「ラウナ!」
が、そのとき、どこからか彼女を呼ぶ声がした。その声が、一気にラウナを狂気から引き戻した。
ハッとして振り向くと、村に残って賊と戦っていた男のひとりが駆けてくる。
戦士ロズクだ。ラウナよりも二つ年上のまだ若い戦士だった。
「ロズク!」
彼は血まみれの剣を片手にラウナの傍らに駆けよって来た。
「すまん、不意をつかれた」
息を切らしながら言う。
最初のコメントを投稿しよう!