第1章「火の星」

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 ビュン!  と空気を切って矢が飛んできた。二人の背後の家につきささる。 「早く生存者をさがそう」  ロズクはせかした。 「全員を救けられるかどうかわからんが……いよいよだめとなったら、おれたちも脱出しよう」 「くっ……」  ラウナは唇を噛んだ。  すでに村の大半の家に火が回っていた。消し止めるのはもはや不可能で、時間の経過とともに村人の救出も困難になっていく。  ラウナとロズクは重い剣を振り上げ、襲いかかってくる賊どもと闘いつつ、まだ残っている村人の姿を求めた。  何人かを救けだし村の外へ誘導したが、ほんの数人を見つけると、もう村には賊以外は誰も残っていないようだった。
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