第1章「火の星」

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 それにしても、なんと理不尽なことだろう。  他の村とのいさかいを解決するための戦いなら、戦士同士の戦いだけで失われる命も少ない。  なぜ、賊はそのような慣わしにしたがわず、こんな暴挙にでるのか、ラウナは割り切れなかった。  ときどき、このような賊が現れることがあるとは聞いていたが、まさかそれが今日、この日であるとは……。  村の出口にさしかかったところでロズクは立ち止まり、待て、とラウナを制した。  悪い予感が的中していた。村の出口に何人かの賊がいた。 「ちっくしょう……」 「つっきるぞ」  ロズクがひとこと言っていた。 「よし」  すかさずうなずくラウナ。
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