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きのうの夜のことだった。よく晴れた星の輝く空を、東から西に向かって巨大な物体が火を吹きながら落ちていったのだった。その物体は西の山の向こうへ落ちた。
いったいそれは何なのか。翌日の朝、調査隊が組まれた。調査隊のメンバーは四人。村なかでも特に剣術の優れた戦士が選ばれた。
ラウナは、そのなかでももっとも若かった。十五歳で、成人の儀式を終えたばかりだった。しかも村でただ一人の女戦士である。だが剣の腕は確かだった。男の戦士を相手にしても、まったく引けを取らない。
「気持ちはわかるよ」
バサンはラウナの肩をポンとたたいた。
「実のところ、おれもドキドキしてるんだ。この歳になるまでこんなことはなかったからな。昔、若いころに初めて他部族との戦いにいったのときのことを思い出すよ」
バサンの言葉にラウナはうなずき、微笑んだ。気持ちの高ぶりが自分だけではないことを知って安心した。
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