第1章「火の星」

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 正直なところ、そんなものを拾い出してきて、いったいどうするか、何に使うのか、などということは誰も全然考えていなかった。とにかく村のみんなに正体を見せてやろうというだけだった。  それがいったいどういうものなのか、中身がどうなっているのかも全然わからなかった。自然の物ではないということぐらいはわかったが、そこまでだった。  神の宝玉か――。  だとしたら、これは、われわれに何をもたらしてくれるのだろうか。御神体としてまつるか――。  ラウナに限らず、誰もが多少なりともそんなことを考えながら山を下りていった。  これを見たら、村のみんなはどう思うだろうか。  久しぶりににぎやかな日になりそうだな、とラウナは思った。
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