30人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、ラウナのその予感はまったく別の意味で的中した。
まだ丘の向こうの村が見えないころから、それはわかった。
……煙?
「たき火……じゃない……?」
あとの四人もそのことに気づいた。
「火事か……?」
バサンがつぶやいた。
「先に行ってる」
振り返ってそう言い棄てると、ラウナは村へ駆けだした。へんな胸騒ぎがするのだ。火事だろうかというバサンの言葉だったが――。
峠にさしかかった。そこを越えると、あとは村まで下り坂一直線だ。が、ラウナはそこで足をとめた。
ここまで走ってきても、息ひとつきらせてはいなかったが、そこから見える村の光景はラウナの息を荒くするのに十分だった。
最初のコメントを投稿しよう!