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恵美はそう言ってうつむき気味にさっさと出ていく。
赤くなった顔を隠していたのを陽一も気付いていたが、恋愛感情は持っていないのであっさりした対応だ。
「こんにちは~♪」
今度は元気な女性が入って来た。大きな肩掛けカバンを下げている。
「元気してた~?」
「皆変わりないよ。姉さんも変わらないね?」
「ええ♪元気だけが取り柄ですもん」
陽一の姉で独り暮らしをしている美雲、ドラッグストアに勤めている。
「今日はね、お願いがあって来たの~いいかな~?」
とか言いつつカバンからポケットティッシュの束を取り出す。「うちの店の宣伝のティッシュ、ここに置いてもらっていいかな~?ちゃんと店の名前と電話番号書いてあるし、迷惑はかからないはずだから!」
何だか渋い顔になってきた陽一を、美雲はなだめるように説明する。
「クリーニング屋と薬屋では接点がなくて、客がいぶかしむ気がするぞ」
「そんな事ないわよ~洗剤や漂白剤なんかは薬屋でも置いている物だし~そ・れ・に・夜の分野のお得意様は薬屋ともお得意様でしょう!?」
最後の部分を身を乗り出して囁く様に言うと、
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