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「ありがとうございました~またご利用くださいませ♪」
街角のあるクリーニング屋のドアが開き、客が出ていく。
外の雑踏に紛れて車のブレーキ音が微かに聞こえた。
店の名前は『太陽クリーニング』良く乾きそうな名前だ。
その店先で愛想よく微笑むのは、代変わりしたばかりの三代目の店長、今野陽一本人だった。
その陽一が客が出ていったばかりの店の入口を見て首を傾げた。
「何だろう…近い…」
何かの匂いに誘われ陽一は店の表に出る。辺りを見回し思わず鼻をヒクつかせ、舌舐めずりする。
「この匂い…こっちか…」
店の裏に続く横道に滑り込み足早に匂いの元に近づいて行く…店の裏側の大通りにもう少しで出るという辺りにそれはあった。
…正確には居たと言うべきかも知れない。
「この血の匂いはお前か…酷くやられたな、ひき逃げか」
道路からこの路地まで血痕はない。だが、身体が潰れたこの様子だと、前でひいて後で潰したと思われる。
「邪魔になるからって投げ捨てか…まあ見たいモノじゃあないか」
人の気持ちもわからないではない。
「この状態見たら絶対助からないって思うよ、やっぱり~」
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