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潰されてしまった体の下に血溜まりが拡がり、体毛を赤く染め上げている。血の拡がりはまだ続いている、目を背けたくなる状態だ。
その生き物の傍らに屈み込んでじっくり観察した陽一は、小さく息を繰り返すのを確認してため息をついた。
「やっぱり俺には生かしてやる方法見つからない…楽にしてやることは出来るけど、それでいいか?」
小さくキュ~と鳴き声がした。
「ごめんな…」
そう言って陽一は横たわる生き物の体毛を撫でる。 すると血糊でべったりしていた毛並みがサラサラになっていく!それでやっとこの生き物が真っ白な犬だとわかった。
「最後くらい綺麗にしような!」
陽一は店のエプロンを外して濡れていない地面に置くと、犬の体を崩さないようにそっと抱き上げ、自分の膝の上に乗せてくまなく撫でる。
両膝が赤く染まっていくのを気にする様子は全くない。
「ああ~ここだ!ちょっと痛いぞ~」
体をすっかり綺麗にすると血の染み出している傷の場所が露になり、陽一はシャツのポケットから針らしき物を取り出すと傷をふさぎ始めた。
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