日常?

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「折れた所は直せないから勘弁なっ」  骨折箇所も外傷は塞いでしまう。  そうして綺麗になった犬を、外して置いたエプロンの上にそっと乗せ、今度は自分の体を見回す。  かなり広範囲に血が染み込んでしまっているが、陽一本人はあまり気にする風もなく、犬の体を撫でたように服の上に手を滑らせていく。  すると色が取れていく!まるで元から血なんてついていなかった様だ。  そしてよく見ると撫でた陽一の手の平に赤い物体があった。  綺麗に取り終わると、陽一はそれを残った血溜まりの上に放る。手を離れた赤い物体は形を失い落下…血溜まりの一部になった。あれは血だったのだ。  どうしてこんな事が出来るのか、簡潔に言ってしまえば吸血鬼の血を引いているからなのだが~四代以上前の話で、陽一の祖父は血が欲しい欲求がよく現れて大変だったそうだが、陽一に至ってはそんな渇きは全く起こらず、血を取るという能力が進化して液体を剥がして集める事が可能になっていた。  その能力を見つけた祖父が始めたのが今の『太陽クリーニング』である。  陽一に限らず今野家系の人間皆が血なら集める事が出来たので、仕事上で血を集めて乾きを癒そうって考えたらしい。
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