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すると血溜まりが伸びる餅かスライムの様に粘着質になって赤犬に吸い込まれた。
「何だか少なめだなぁ…まあいいか」
陽一は犬の灰をエプロンに包み、赤犬と一緒に裏口から家に持ち込む。
「母さんっちょっといい?」
店の奥でアイロン掛け中の母に犬の話をすると、母は早足でキッチンに入り、まな板を手にした。
「それなら早い方がいいでしょう?」
まな板の上に大きくラップを敷き、エプロンの中の灰を丹念に払い落とす。
「血は真ん中に置いて」
灰をドーナツ状にして、陽一の持つ赤犬を促す。
陽一が灰の上で赤犬を手放すと、赤犬は形を失い灰を吸い込んでいく。
「後は任せなさいっ」
母が呟いて血溜まりの上に灰をかけてこねていく。
ため息をつく陽一の目は赤く輝いていた。こんな部分は吸血鬼の特徴なのかも知れない。しばらくすると目は茶色に戻っていた。
「これなら大丈夫そうだね」
白い灰に血の赤が混ざって肉をこねているようだ。
「よくこねてワンちゃんの魂が戻り易くしてあげるからね~」
母はイタコだったので魂の気持ちを感じる事ができる上に、任意の物体に憑依させる事もできるのだ。
「こんなものかしら…」
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