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「はい。ご報告が遅れて申し訳ございません」
「それで、肝心の木の実は完全に塵にかえったのか?」
「ダメでした。木の実は放射線や核爆発にも耐え、むしろ成長していたのです。そして、これが、現在の姿です」
博士は先程、使用したプロジェクターに現在の木の実の様子を映し出した。それを見て、官僚は思わず悲鳴を上げてしまった。
それは、木の実ではなかった。立派に成長した木である。大きな木が核実験場の真ん中にズンと立っていた。処分しきれず、木の実は生長し木となり、その枝先には同じ実がなっていた。これには、落胆の色を隠せない。それは、博士も同じだった。これは、人間には太刀打ちできない植物なのだ。きっと、他の国に持っていったとしても、結果は同じことだろう。
誰もが植物の処分に手を焼き困り果てた。
しばらくして、一機の宇宙船が地球へとやってきた。宇宙船に乗っていたのは一人の宇宙人だった。彼は地球に着くなり、真っ直ぐ、木が生えている実験場へと向かった。
「やっと見つけたぞ」
宇宙人は防護服を着たまま、そんなことを言いながら、木に近寄るのだ。
宇宙人の襲来は博士にも伝えられ、彼も防護服を着て、その場に駆けつけた。
「それは、あなた方のモノですか?」
博士が木の実に触れている宇宙人に話しかけた。宇宙人は振り返り、博士を見て頷いた。
「ええ・・・。ご迷惑をおかけしました。すぐに処分しますので」
宇宙人は地球で起こったことを理解しているらしく、すぐに処分を始めた。処分といっても、作業は単純。枝の先になっていた木の実をもぎ取っただけ。たった、それだけで木は枯れ出した。あれだけ、何をしても平気だった木は枯れ果て、その場から消えた。実に呆気ない幕切れであった。
宇宙人は木からもぎ取った木の実を宇宙船へと積み込み、地球から飛び立とうとした。それを、博士は呼び止める。
「待ってください」
「何ですか?」
「その木の実は、結局、何なのですか?私達の星の技術では、そのような実は生み出せません」
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