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それは、博士の一番の疑問であった。何をしても、枯れない強い生命力を持った木の実。その反面、なった実をもぐだけで枯れてしまうという脆さを併せ持つ。そして、何より、その木の実は毒である。そんな木の実を持ち帰って、どうするというのだろうか。
「この木の実は、非常食なんですよ」
「非常食?」
「ええ。宇宙というのは、どんな危険なことが待っているか分からない。そこで、産み出されたのが、この木の実なんです。これは、どんな環境下でも成長する強靱な植物で、遭難した際は植えて木になるのを待ってから木の実を食べるのです。おまけに、木の実からは電波のようなモノが発せられ、どこにいるか見つけてもらう目印にもなります。ちなみに、これは私達には無毒ですが、私達以外の生物には有毒であるよう改良してあります。遭難した場所で、他の動植物に食べられたりしたら洒落になりませんからね。宇宙時代には欠かせないモノなのですよ。これは・・・」
と、宇宙人は自慢気に博士に語るのであった。
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