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高等部から職員校舎へ続く通路には人道りがない。
そのため、女子生徒からの冷たい視線を浴びる事がないので安心出来る。
隣を歩いている浅上君を見ると、男子とだけあって私よりも背が高い。さっきは気付かなかったけど、冷たいというかクールというか、そんな感じがした。それとは裏腹に悲しそうな感じもする。
「何?」
自分を見ている私に気付いたのか、問い掛けてくる。
「浅上薫君っていうの?」
何でもないというのもおかしいので、名前を聞いてみる。
「そうだけど、どうかした?」
予想外の返答。もっと冷たく言われると思ってた。
「何で浅上君は私の名前知ってるの?」
「友香から聞いた。薫でいいから」
薫、女とも男ともどっちとも取れる名前。実際薫の後ろ姿は女に見えるんだろうな。
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