プロローグ

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医師は、私の事を看護婦に伝えているのか、あまり会話が聞こえない。 「先生」 会話が終わった後、私の呼び掛けに応じてくれた。 「何だい?」 「私は何故生きているのです?」 私の質問に医師は、かなり困っている様子。 けれど応えてくれた。 「それは、私にも分からないんだよ」 「何故です?」 私は医師の返答を待つ。 「傷から見て、心臓と肺が貫かれていてもおかしくないんだよ。だけど、川村さんの臓器には傷一つ付いていない。この分だと二週間で退院出来ますよ」 「ありがとうございます」 私がお礼を言うと看護婦を残したまま、一人で戻って行ってしまった。 看護婦は「良かったですね」と言った。 けど、私が生きている事はおかしい。なのに、私はこうして生きている。 (何故生きているのでしょう?)
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