ここは誰?たわしは何処?

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んで王様の謁見室みたいなところから出て20分くらい経ったかな。 一応案内の人にいろいろ聞いてみたけど、どうやらこの世界の時間の巡りは地球とは変わんないらしい。 いやはや、これは大助かり。巡りが違ったらどうしても生活リズムが狂う。 「此方が書庫になります。少し待っていて下さい、書物を持ってきますね」 その一言と共に兵士さんは本棚の奥に去って行く。なんか面白い本ありそうだなー。 んですぐに兵士さんは帰って来た。どうやら予め連絡してあったみたい。 「此方が貴方に渡す書物となります。……本当に一人で大丈夫なのでしょうか?」 「平気ですよー。こう見えても一人で山の中で一月過ごした経験とかありますし」 例のサバイバルの事ね。あの両親ときたら、急に「どんな状況でも一人で生きる訓練だ!」とか言って10歳の俺っちを普通に熊とか出る山に放り出すんだもん。 あ、熊は普通に出てきたけど魁の方とは関係なし。あとその熊とは仲良くなって一月の間お互い協力し合って生き抜いたった。 「それじゃ、俺っちは行きますね。何にも関係ない人間にここまでしてくれてありがとうございます」 「気にしないでください。本来なら此方が責任を持って必要な知識を教えたりするんですから」 それを聞いて自然と笑顔になる。ほんと、ここの人は優しい。魁のような偽善ではない、心からの優しさだ。 30分後、俺っちは城の中から姿を消していた。 .
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