血蘭鬼

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紫蘭はその様子を見て自分の席に向かい、座った。 その時、隣の席の少女が紫蘭の背後に回り、紫蘭に銃口を向けた。 とても洗練された動きだ。 「動くな!!動いたら撃つ。」 紫蘭を助ける為の血蘭鬼達の行動は、彼女の言葉によって阻まれた。 「物騒ですね。銃を下ろして頂けませんか?」 紫蘭は至って冷静だった。 「質問に答えたら下ろす。何故お前がこの世界に来た?」 「まず名を名乗って下さいませんか?それが礼儀というものでしょう?」 「……千嫋桜水(センジョウ オウミ)」 桜水は少しの沈黙の後に答えた。 「桜水…?」 彼は驚いた表情を浮かべた。 と言ってもあまりにも微かだったので、茜漓だけにしか気付くことが出来なかったが… 彼は背後をちらりと見た。 彼の予想通り、其処には彼の愛した人に生き写しの少女が彼に銃口を向けていた。 「質問に答えろ。」 「……ある人物の捜索をしろと父から命令が下りましたので。」 「ある人物とは?」 「『純血の蘭』です。」 「成る程。」 そう言って彼女は銃を下ろした。 「失礼致しました。」 「いえ、お気になさらず。これが当然の行動でしょう。」 そして双方は笑みを交わした。
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