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「紫蘭くん、本当に大丈夫なのかい ?」
「仕様がないでしょう、理事長。父の命は絶対ですし…」
「紫蘭」と呼ばれた少年の瞳に光はない。
「だが…」
「何とかなりますよ。そろそろ教室に行きたいのですが…」
「あぁ、そうだね。君の担任を呼んでくるよ。」
そして「理事長」と呼ばれた男が、放送を使って担任を呼び出した。
数分後、一人の男性が現れた。
紫蘭の前まで来ると、恭しく跪いた。
「お待ちしていました、紫蘭様。私は藤堂薫と申します。」
「紫蘭くんの担任の先生だよ。」
「藤堂家の者ですか…頭を上げて下さい。ここでは普通の生徒として接して下さいませんか?」
「了解致しました。」
そして藤堂薫は徐に立ち上がった。
「では、参りましょうか。」
「えぇ。」
そして紫蘭と藤堂は、理事長室から出ていった。
「争いにならなければいいけど…」
理事長がそう呟いたのは、誰も知らない。
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