第一章 星になる街

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 まだ十四歳で、学生に過ぎないぼくには憧れの対象でしかない。  いつもはそんなエリアライドで渋滞しているこの時間帯の艇道も、今日みたいな日にはガラガラだ。  だから余計に危ない。  さっきから、すれ違うエリアライドが軒並み尋常じゃないスピードを出している。  自警団の巡視員がいたら、問答無用で切符を切っているだろう。  今日は合同葬の日だ。  先週末起こった爆破テロの被害者たち――総勢百五十人が星になる。  なかには子供もたくさんいたと聞く。  「街」中をショックに陥れた悲惨な事件だった。  きっと葬儀に参列しない人たちのほとんどは、自宅で映信機(えいしんき)の生中継映像を見て過ごすんだろう。
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