終章 the light.

3/6
前へ
/343ページ
次へ
 なんて無様。なんて滑稽。  こらえきれず、足を止めて壁に背中を預けた。  胸が苦しくて気持ち悪い。  唾を吐いたら黒ずんでいた。  全身がだるくて、もうこれ以上動けそうにない。 「アカリ……」  彼女の名を、つぶやく。  ――思い出される、約束の言葉。  救いを求める彼女の言葉に、ぼくは頷いてしまった。  腹の底から、わけのわからない怒りと悲しみがわき起こった。  ちくしょう、とぼくは血を滲ませながらうめく。  そしてまた、歩き始める。  交わした約束は、果たされねばならない。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加