3人が本棚に入れています
本棚に追加
なんて無様。なんて滑稽。
こらえきれず、足を止めて壁に背中を預けた。
胸が苦しくて気持ち悪い。
唾を吐いたら黒ずんでいた。
全身がだるくて、もうこれ以上動けそうにない。
「アカリ……」
彼女の名を、つぶやく。
――思い出される、約束の言葉。
救いを求める彼女の言葉に、ぼくは頷いてしまった。
腹の底から、わけのわからない怒りと悲しみがわき起こった。
ちくしょう、とぼくは血を滲ませながらうめく。
そしてまた、歩き始める。
交わした約束は、果たされねばならない。
最初のコメントを投稿しよう!