無邪気

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先生が問題を解けだの言っているのが聞こえた。 …こんなの、わかるわけがない。 そんなことを思いながら、 メアドを書き終わったメモを横に置く。 「なぁ、この問題、早く解かないとお前に当たっちゃうよ?」 ふと、琴哉から声をかけられる。 我に返り、イヤホンを外す。 「無理無理。わかんないしっ。」 即答して頬杖をつこうとしたとき、ノートを渡された。 「当たったら困るだろ。写しなよ」 「う、うん。…ありがと。」 そういい、私は素っ気ない字を移していく。 私にはさっぱりわからなかった問題。 でも、琴哉にはわかる問題。 今だって意味がわからなくて、 琴哉が書いていた筆算まで移していた。 それを琴哉が見つけ、クスッと笑をこぼす。 「お前、なに移してんのっ。それ関係ないし。」 馬鹿にしているのか、よくわからない声で言われる。 なんか、ものすごいイライラしてきた。 「うるさいっ!先生に聞かれた時に困るんだよ。」 ごまかせそうな文句を適当に吐く。 もういざとなった時の無視を使ってやる。 だか横では、 「お前の字って見かけによらず丸っこくて可愛いよなー」とか、 「なんの曲聞いてたの?ホラー的な?」と、口うるさく質問される。 うるさいよ。と心の中でつぶやく 声に出したら調子に乗るからだ。
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