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「おまっ……、ほんっとに可愛くねぇなぁー! 女らしいのは名前だけだな。詐欺だよ、ほんと。名前詐欺!」
出た、坂崎の常套句。
私の怒りは一瞬で頂点に達した。
「あーもー、どうせ私は可愛くないわよ!! そう思うなら部下だろうと何だろうと知らんぷりしてればいいじゃない。
あんた、それに今日金曜よ。誰か待たせてるんじゃないの? 私になんて構ってないで、さっさと行きなさいよ! 愛想つかされても知らないわよ」
無駄に顔が良くて、無駄に背が高くて、スタイルもいい坂崎はバカみたいにもてる。
かなりの女泣かせだと聞いている。
本命の噂は聞いたことがないから、きっとうまく遊んでるんだろう。
私から一気に捲し立てられ気勢を削がれたのか、坂崎はわざと聞こえるように舌打ちをすると、ツカツカとオフィスから出ていった。
「後で泣きつくなよ、ふたばチャン」
そう捨てゼリフを残して。
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