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「あれ……先約?」
いつも、授業で使うとき以外は殆んど誰もいない視聴覚室。
今日は違った。
「あっ…すいませんっ!」
俺の声に素早く振り向いた男の子は、俺を見るなり、慌てながら、机に広がったノートや参考書を片づけ始めた。
あらら、俺ってかなーり怖い先輩ってレッテル貼られてたり?
…と、そんな冗談は後にして。
これほどこの子に怖がられてる訳は、きっと俺のネクタイの色が青だったからだろう。
「君、一年?」
「は、い…」
一年のネクタイの色は緑。
二年は赤。
そして、三年が青。
「そんなに怖がらないでよ」
俺はそう言いながら、その男の子の席から、二つ離れた席にゆっくりと座った。
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