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「あぁもう…!」 水が冷たい。 というより、冷たいを通り越して、痛みまで感じる。 しかも、感覚が無くなってきてるし。 家で、温かいお湯で洗いたい。 そんな願いもあるが、早く落とさないと消えなくなってしまう訳で。 のろのろしてはいられない。 「光の馬鹿っ!ペンキ缶引っくり返すとかあり得ないからぁ!」 お陰で、俺の両足のズボンの裾は、真っ青に染まっている。 「うぅ…冷てぇ……」 どうせ今頃隣の女子高の子にでも告白されてるんだろう。 "女子からの呼び出しすっぽかせないから洗うの手伝えない" とかなんとか言ってたし… 「光の馬鹿野郎ー!アホー!この、女ったらしがぁ!」 冬、外の水道で、一人でぶつぶつと叫ぶ。 これ程不審な人がいたら、俺は逃げる。 「…誰が女ったらしだよ」 「ひ、光…」 声がした方へ顔を向けると、少し離れたところに光が立っていた。 さりげなく水が飛ばない位の位置に立ってるな。
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