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「ほれっ!」
「えっ…」
何かを俺めがけて軽く投げられ、俺はバランスを崩しながらも、何とか受け取った。
一度、蛇口を捻り、水を止めた。
「……何これ?」
渡されたのは、片手で持てる程の小さなプラスチックの容器……中には、水のような、透明の液が入っていた。
「水じゃないかんな」
う。
本当、こういう勘が鋭かったりする。俺が何考えてるかとか、すぐ当てられて。
「じゃ何さ…」
「溶剤。これでほぼペンキ落ちんの」
先生から借りてきた、何て言いながら、光はゴム手袋をし、俺のズボンに、容器の中の液体を染み込ませた。
軽く叩き続けると、少しだけ色が薄くなる。
「おー!結構色落ちんじゃんっ」
そんな風に、子供の用に燥ぐ光を見て、ほんの少し、笑みが零れたりもする…。
FIN。
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