余興  青空を振り返れば

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「歌を1つ作ってくること。期限は1週間、延長は無し!」  海人は反射的に用紙を押し返そうとした。が、空はひらりと後ろに跳んでそれを避ける。 「そ、そんな無理ですって!!」 「大丈夫大丈夫。なんなら、歌詞だけでもいいわよ。作ったら必ず歌ってあげるから! じゃーねー」  手を振る空の後姿を見つつ、海人は途方に暮れながら、校門へと向かう。  だが、それも一瞬の事。 ――俺が作った歌を、空さんがね  何を歌った曲にしようか。そう考えて、海人は空を見上げる。空の歌なら既に『青空に歌えば』という曲がある。だけど、あれは空が作った曲だ。ならば、自分は、自分が見た青空の歌を作ればいいのではないか。  海人は振り返った。空は歩いて行く。  そう、例えば、彼女との思い出を振り返った歌なんてどうだろう。それを空の景色に例えるのは。 「青空を振り返れば」  それが、長倉海人が生まれて初めて創った歌の名前だった。 END
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