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俺も右手を上げながら、返事をする。
「なんだ。お前も来てたのか、イチ」
「んあ。黒柴センセがおれなんかに何の用かは知んねーけどなぁ」
現在、俺の目の前に居るのは妙な風貌をした少年だ。
目が隠れそうな程に伸びた黒い前髪に、よく鍛えられた体。
その長い前髪の間から覗く双眸が放つ眼光は鋭く、耳にはシンプルな銀のピアスを着けている。
明らかに未成年にも関わらず口には火の点いたタバコを咥えており、着ているのは何故かボロボロの学生服。
しかし、その不良のような見た目にも関わらず、手に持って目を通しているの純愛物の少女漫画という謎な行動。
コイツの名は、
二ノ前 壱(にのさき はじめ)。
自警団きっての変人と呼ばれる『自警団特殊部隊 第5番隊員』だ。
周りの人間からは、「イチ」という愛称で呼ばれている。
特徴としては、その不良じみた風貌にそぐわない明晰な頭脳。
IQ170を誇るとされるその頭脳には、作戦時はよく助けられ、そして普段は大人子供関わらず辟易とさせられてる。
しかし戦闘能力が低いか、と聞かれれば決してそうではなく、腕っぷしの強さだけでも十分に特殊部隊を名乗れるだけの戦闘技術は持ち合わせている。
イチはタバコを素手で揉み消し、窓の外に放り投げながら呟く。
「ま、おれ達二人が呼び出された時点で大体の予想はついてっけど」
「へぇ、どういうことなんだ?」
「たまにはテメーで考えろ」
ちなみにイチは特殊部隊最年少の17歳、つまり俺の一つ下なのだが、敬語を使われた覚えが一度もない。
俺も白鳥に敬語を使わないので言えた義理では無いが。
「そう言われても……俺には見当もつかねぇからなぁ」
俺がそう言うと、イチは新しいタバコに火を点け、口から大きく煙を吐いた。
「仕方ねーな……。んじゃ、一個だけヒントをやるよ。おれ達の共通点は何だ?」
「敬語が苦手」
即答した。
しかし、イチから返ってきたのは舌打ち。
「そりゃオメーだけだろ……そーじゃなくて、もっと能力的な相似点だよ」
笹島さんにでさえタメ口で話すヤツがよく言った物だ。
しかし、今ここでそれを指摘すれば手痛い反撃を喰らいそうな予感がするので黙っておく。
代わりに考えるのは、言葉の後半。
──……能力的な相似点?
そう聞くと、一つ思い当たる節がある。
前にコイツが言っていた事があった。
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