依頼

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「もしかして……アレか?確か……『異常感覚(アブセンス)』だっけ?」 そう俺が言うと、イチは頷いた。 「そ、『異常感覚』。オメーは"構築"。おれは"危険の察知"。おれ達が生まれつき持ってるおかしな才能だ」 異常感覚、と書いてアブセンス。 提唱する本人曰く、異常(アブノーマル)と感覚(センス)を合体させた言葉らしいが、ネーミングセンスが感じられない。 『異常感覚』はその名の示す通り、普通の人間とは違った感覚のことを指す。 俺は言わずと知れた"構築"。 そして、イチは"危険の察知"。 "危険の察知"なんて言われてもピンと来ないだろうが、意味はそのままだ。 第六感が異常に発達している、とでも言うべきか。 この少年、イチは自分や身近な人間に迫る危険を感知することが出来る。 影からライフルで狙われている、罠が仕掛けてある、敵が気絶していなかった等と、特殊部隊は幾度となくあらゆる危機からこの少年に助けられた。 「……で、どういうことなんだ?」 「おれ達以外にも、『異常感覚』を持ってる奴らは山程居んだろ?そこで何でおれらが呼ばれたかが問題なんだよ」 確かに、自警団であることは問わず、イチが『異常感覚』保持者であると判別した人間は結構いる。 白鳥の"嘘の判別"もコイツによるとそれの一つらしい。 しかし、俺達二人だけが呼ばれた理由となると、 「……単に腕っぷしが強いからじゃ?」 「馬鹿かオメーは。それだったら、上に3人居るだろうが。3番はともかく、笹島さんと千秋はおれ達より圧倒的に強ぇだろ?」 「……確かになぁ」 ちなみに、イチの言う千秋とは白鳥のことだ。 白鳥 千秋(しらとり ちあき)。 女っぽい名前だと本人は嫌っている。 少し脱線したが話は続く。 「つーことはだ。センセーが要るのはおれ達の『異常感覚』ってことになるだろ?」 「へぇ。それで?」 「つまりは……」 しかし、イチが口を開いた所で部屋の扉が開いた。
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