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「で、いつ調査に行く?」
星の部屋を出た俺は、廊下を歩きながらイチに問い掛ける。
「んあ?明日で良いんじゃね?」
「じゃ、そうするか。後で笹島さんにメールしとく」
「ん、頼むわ」
俺達自警団の人間に報酬の出る依頼が来るということは、笹島さんには既に話が通っているのだろう。
笹島さんは自警団特殊部隊 第一隊員であると共に、団長でもあり、基本的にはいつも市役所代わりのビルに駐在している。
俺達、特殊部隊には、それぞれ広範囲の駐屯地が決められていて、有事の際に出動出来るようになっている。
俺は西の住宅地。
イチは東の住宅地。
笹島さんはビルを中心に街全体。
白鳥はビルからやや南よりの住宅地。
そして、街の北にあるこの病院を守護する隊員が一人。
ただ、
「それにしても、最近平和だよなぁ…」
イチが呟く。
俺も同調して答える。
「ああ。全くだ。お陰で家事と配達がはかどって仕方がねぇ」
そう。
街はこのところずっと平和なのだ。
農村に送った団員達からも、特に異常のある類いの話は来ない。
イチがからかうように言う。
「宇宙、完全に主夫と化してるよな。いや、むしろ灯さんの奴隷か」
「誰が奴隷だ」
イチは灯と笹島さんにだけは、何故か「さん」を付けて話す。
笹島さんは解るが、灯については理由が謎だ。
前に、灯とイチで少女漫画の話題で盛り上がっていたのを見たことがあるが、それだけとは思えない。
「だってよぉ。……ん?」
話の途中、不意にイチが振り向く。
俺も背後を見るが、誰も居ない。
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