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「…あー、ぁ…れ…?」
誰か居ませんか?
そう叫ぶつもりが、喉はやけつくみたいに熱くてカラカラ。
痰が絡む感じもして、まるで風邪を引いたときの状態に近い。
怪我のせいだと思われる身体中に感じる熱は、徐々に上がってきているようだ。
落ちた時に切ったのか、右の目蓋は開かないし血生臭い。
緊張のせいなのか怪我のせいなのか、頭がズキンズキンと痛む。
両手首はさっき外れないかとじたばたしたために、少し擦り切れたようだ。
落ち着け、落ち着け俺…
とにかく、生きているのは確かな事実。
あんなとこから落ちて生きてるとか、俺、ミラクルボーイじゃね?
まあ、それはとりあえず置いといて。
今、俺の居る場所ってどこだ?
キョロキョロと回せるだけ首を回して、辺りを見回すと少し上の方に鉄格子付きの小窓が2つ。
空は薄い紫がかっていて下限の月、どうやら夕方より少し遅い時間のようだ。
微かに虫の声も聴こえてきている。
淡い月明かりを頼りに目を凝らして見れば。
目の前には古そうな木製の棚に、大量の紙の束、というか冊子?
他にも、壊れた小手に割れた竹刀、中身の知れない風呂敷が幾つか。
この感じ…田舎のじいちゃん家の蔵に似てる…
そんなこと考えながら、なんとか後ろを確認しようと身体をひねって見れば。
どうやら寝転んだ状態で、俺は固定された梯子にくくられているようだ。
つーかなんで拘束?
普通この怪我なら病院行きだよな?
はた、とやっと気付いた事態に首を傾げながら。
とりあえず痺れてきた半身を起こして座ろう、とじたばたしていると。
ガタン…ガタガタ…
前方の方で物音がして、人影が一つ…二つ、小さな行灯一つと一緒に入ってきた。
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