プロローグ

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 最初からしっかり【視えていた】わけではない。 最初の頃はそこだけ霧がかかったかのようにボンヤリとする程度だった。 時折、空耳だと勘違いするくらいの囁きだった。 それが、今ではしっかりと視えるようになってしまったのだ。 それは、幽霊ではないと確信を持てるのは確かなのだが…。 「あー!絶対に出る!」 そして、その視えているものが、健太の頭にずっといるのだけれど…。 でも、幽霊では無いんだよな…例えると… 「…小人?」 「あ?ちげーよ!幽霊!」 「…はいはい、分かったって。ま、俺も健太の気持ちは分かるよ。視えないものが視えると大変だよな」 「え?もしかして、新ちゃんも視えるのか?」 「幽霊は視えないけど、変なのなら…」 「……新ちゃん、大丈夫か?」 心配する健太に新太郎は大丈夫、と呟き、隠すように笑った。 ただ…健太の頭の上に魚みたいなのがはねているのだ。
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