雪が舞う夜に

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ちらちら。 チラチラと、雪が舞う。 車のライトに反射して、キラキラと舞い降りる光のつぶのように。 「寒い…」 赤信号で停車した隙にと、車のなかにいて、まだなお凍える手をこすり合わせた。 軽自動車とは言え、こんなに冷えてしまっては、暖まるまで時間が掛かる。 「寒……」 もう一度、かじかむ手をこすりあわせて、ひんやりと冷たいハンドルを握った。信号が青になり、前の車が動きだす。 やっぱりちゃんと、アイドリングしてから出ないといけなかったんだよな。と、ちらりと思うけど、思うだけ。 気持ちは、先へさきへと自身を急かす。 早く会いたい。 雪が降る夜だから、早くあなたに会いたい。 あなたの暖かい腕に、抱きしめてほしいから。 END
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