第一章 箱庭

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「大丈夫だ。ここに危険はない」 そう言って微笑みを浮かべる。 この人が助けてくれたのか?        ・・ 「と言っても、今はだが。動けるならすぐにでも移動したい。近くに街がある」 そう言って立ち上がると、手を差し出す。身体に力は入らないが、その手を借りてなんとか立ち上がることだけはできた。 その際に立ち眩みがしてふらつくが、男がしっかりと支えてくれる。 「俺は……アンタが……助けて?」 男は静かに首を振る。 「見つけた時には君が1人でここに倒れていた。私は街の周りの安全を確認していただけだ」 男が視線を向ける先、遠くに灰色の壁がそびえ立っているのが見えた。 「とにかく話は後だ。街まで行けば安全な場所があるからそこに着いてから聞こう」 そう言って俺に肩を貸し歩き始める。俺も素直にそれに従い男と共に歩き始めた。 俺は貧血気味の朦朧とする頭の中で考えていた。 なぜこんなことになってしまったのだろう、と。 死と隣り合わせの残酷な世界。 ここに来るまでのことをゆっくりと思い出していった。
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