第ニ章 回想

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背後を見て確認すると、床に胴体着陸した紙飛行機の背中にかなーり小さい字で“妄想バカ”と書いてあった。 正面へと振り返り、目の前の机に足をブラブラとさせながら座る、製造者兼発射装置を睨む。 「人に物を投げてはいけません、って教わらなかったか?」 「先生!バカは人に含まれますか?」 「バナナおやつみたいに言うな!てか全然上手くないし!」 無邪気な笑顔でちょっかいをかけてくるこいつの名は『植蓮 蓮(ウエハス レン)』、俺のことをハレハルと呼ぶ。女性にモテやがる俺の天敵。 髪は少し茶色の混ざる肩上までの長さ。髪の隙間から覗く瞳は大きく睫毛も長い。女性と見間違うほど可愛らしい顔をしており、周りからはレンレンと呼ばれ高い人気を得ている。 身長は平均より低いが、甘え上手な性格と笑顔、成績は学年3位の癖にそれを鼻に掛けない態度が女子連中からモテる秘訣だろう。 だが見ての通り、俺に対してだけは本性であるところの腹黒さを存分に発揮する。周りから見れば普段の可愛らしいニコニコ顔だが、俺から見たら忌々しい悪魔の微笑みだ。 まぁそんな感じで色々腹の立つヤツではあるが昔から何だかんだ一緒にいることが多い――腐れ縁ってやつだ。
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