第一章 箱庭

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黒一色の世界。見渡す限りの暗闇。それは永遠に続いているのか、それとも箱の中のような閉じられた空間なのか。それすらも分からない。 ただひたすらに全てを飲み込むような漆黒の空間。目を開けていても、閉じていても変化はない。今自分がどうなっているのかも分からなくなっていく。 ――頭がおかしくなりそうだ。目に浮かぶのは大切な二人の友達の笑顔と――最期に見た悲惨な光景。この先も一生目に焼き付いて離れないだろう。 しかし、それでもいいのかもしれない。俺は二人を守れなかった、その罪の意識を背負って生きていく他ないのだから。 というか俺は生きているのか? ――分からない。分からないことばかりだ。時間もどれほど経ったのだろうか。 意識は途切れ途切れ。目覚める度に無為な思考を繰り返す。 次第にまた意識が遠くなっていく。再び目覚めた時は今度こそこの暗闇から解放されていますように。 そう願いながら意識が闇へと深く深く沈んでいく。
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