第一章 箱庭

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これは――夢? 再び覚醒した朦朧とした意識の中、俺は不思議な感覚にとらわれていた。 世界は相変わらずの暗闇……そんな変わらない景色にも関わらず夢だと感じたのは目の前に見慣れた1人の少女がいたから。 こんな状況だから頭がおかしくなっても仕方ない。普段の妄想が幻覚として現れたのかもしれない。 もーちゃん。俺の頭の中にいる妄想の産物。 ただ唯一、俺の知っている彼女と目の前にいる少女との相違点をあげるとするならば……彼女は必死に何かを俺に訴えようとしているように見えた。 妄想の中ではいつも一方的に俺が語りかけるだけ。そんな俺の都合の良いように表情を変える彼女。 それならば今の彼女の訴えかける様子も俺の意思に呼応しているだけなのかもしれない。 「俺を責めてるのか?」 友達を守れなかった俺のことを。 しかし、それに対して彼女は静かに首を振った。そしてその可愛らしい口を僅かに開くと―― ――わ……して…… 「ッ!!」 突然頭の中に響く声に俺は思わず身体をびくつかせる。 彼女は必死な表情で繰り返す。 ――わたし……さがして…… 私、探して? 高いトーンの声音が微かに頭の中に響く。 初めて聞いた彼女の声はとても澄みきっていて……何度も繰り返し聞いていたい、彼女の必死そうな様子を見ながらそんな場違いな思いを抱いていた。 「君を、探す?」 俺が声に出して聞き返すと、彼女は嬉しそうに頷いた。 「それは、どういう」 意味か?と聞こうとした時、突然彼女の身体がまばゆい光に包まれる。 いやそれだけじゃない。彼女と同様に俺も光に包まれていた。 それに気づいた瞬間、身体が浮遊感に包まれ、視界がぐるぐると回る。 「くッ!!」 同時にまばゆい光が視界全体を包み、何も見えなくなる。 一体……何が……? 急速に視界が開けていく。
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