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「寮に移って初日だと、荷物が届かないとか忘れたとかよくあることだからの。下着とか歯ブラシとかはある程度寮長に予備が配られるんよ」
なるほど・・・・・・お? と言うことは僕はさっきからとてもとても失礼だったのね!
「ほれ、予備をやる。さすがに自分の履いた奴を渡すわけないで安心せい」
袋に入った真新しいパンツを僕は受け取った。
「すいませんなんか色々一人で勘違いしちゃってて」
「いや別にいいってことよ。ワシの言い方も誤解招くような言い方だったで」
寮長さんは僕の頭をポフポフ叩いた。
「ワシは2年黒木 仁よ。お主は?」
「1年春野 哉太です」
「春野・・・おお!お前が春野か!」
「うっす」
多分17歳で高校1年っていう噂が広まっちゃってるんだろうなぁ 加えてこの髪色、前髪だし
「一人だけ年が高くて大変だろが、なんかあったら相談に来い」
寮長さんは笑うと、髪をぐしゃぐしゃに掻き回した。
「ぬおっ」
「どうしてそんな髪かは知らんが、生徒会に目を付けられんように気をつけろよ」
「生徒会・・・?」
「今年の生徒会はなんか色々癖の有りそうなやつやでなぁ。一応気をつけとき」
「ありがとうございます」
「敬語じゃなくてもええよ」
寮長さんがぐしゃぐしゃする手を止めた。
「お前はなんか面白いで」
「じゃあ・・・ありがとう」
「それでええ。じゃあな春野」
寮長さんが手を振ってきて、僕はそれに手を振り返した。
ああ・・・このイベントが可愛い美少女だったら良かったのにな・・・。とか失礼なことを考えながら。
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